解説
2009/09/09 (Wed)00:00
今日この日に貴方が生まれてきてくれた感謝を込めて
あ、東京で製本コースになりそうです。
よく考えりゃ家で製本するスペースねえよ。
印刷はしていくので、日程は変えずに頑張ります。
「呼んだか?」
めずらしく『今すぐ来て欲しい』という連絡が入り、ザンザスは綱吉の執務室を訪れた。
執務室では綱吉が書類と格闘している。
入ってきたザンザスを見て、綱吉は顔をほころばせた。
「ザンザス!! 丁度いいところに」
可愛らしいことを満面の笑顔で言ったのに、綱吉が差し出したのは数枚の書類。
「書類手伝って」
にっこりと微笑まれて否とは言えない。が、おいそれと頷くことが出来ないのは、その書類がどういうものか知っているからだ。
「こんなの忠犬にやらせればいいだろうが」
何故わざわざ俺に手伝わせる、と聞けば綱吉はしょうがないじゃん、と口を尖らせた。
「いつもすっごい手伝ってくれるんだよ。今日引っ張り出すなんて可哀想じゃないか」
ちらりとデスクの上のカレンダーに目をやる。そこには今日の日付ででかでかと丸が書かれており、『Buon Compleanno』という文字が躍っていた。
その内容に心当たりを探す。仕事と綱吉以外のことで占めることなどありえない中に、上手く入り込んでいたその情報は、確かに今日引っ張り出すことは出来ない内容だった。
ちなみに、ザンザスがこの情報を覚えていたのも、『綱吉が本邸から出られない日』という情報のためだったりする。
「そういうことか」
「そもそも今日が〆切の書類なんてずっと前に終わってるもん。それをヴァリアーが溜めてた書類がまわってきちゃってさ」
俺にはまだわからないところが多いし、ザンザスの管轄だから教えてもらえるかなって、と下から上目づかいにザンザスの様子を伺う。
「ベルか」
あのお気楽極楽王子は、王子だもん、と言って書類を矯める癖がある。一応期限までには出すようだが、それもギリギリで、いつもならば文句を言いつつ片付けるところも、今回ばかりはそうはいかなかったらしい。
今度の任務は置いていくか、とザンザスはため息をつきつつ、綱吉が持っていた書類を受け取った。
仕事を口実にしているが、会いたかった、という思いはちゃんと伝わった。
証拠に綱吉の表情が満面の笑みに輝く。
「別の日でも良かったんじゃないのか」
こんな書類の〆切が重なる時期じゃなくて、とザンザスはペンを片手に綱吉に顔を向ける。
「お前は当日休めないんだろ」
「まあね。さすがに他のボス呼んでのパーティですから。本当は彼女もパーティするべきなんだろうけど」
中心人物になるのはものすごく嫌がりそうだ。
「俺は彼女に感謝しているし、こういう日くらい何かしてあげたいな、って思うんだ。いつも忙しそうにしてるから、こういう日くらいのんびりさせてあげたいんだよ。彼女がいなきゃ絶対に今ここにこうして立ってないから」
綱吉はペンを片手でくるくると回す。その目にはここを見ていなかった。懐かしそうに過去を見ている。
「彼女に出会わなきゃ、今でも知らないことが多かっただろうって思うんだ。それに手伝いだって全部やってくれるんじゃなくて、ちゃんと俺が出来るところは自分で、って厳しいところも俺のためになってる。まあ、たまに知らないままでも良かったな、って思うこともあるけどね」
と綱吉はあははと笑った。
「あと、それだけか?」
綱吉の前に書類を差し出すと、もう終わったの!? と目を丸くさせた。
「当たり前だろ。ほら、さっさとしろ」
「はーい。あ、ザンザス」
ようやく書類に向かったと思ったら、綱吉はザンザスを呼ぶ。
「なんだ」
「今日は仕事ないんでしょ」
「あっても空けてやる」
その言葉に綱吉は、ぱあ、っと一段と明るい声を出す。
「じゃあ、ご飯一緒に食べよう!!いいでしょ」
今日一日は屋敷から出ることは出来ないから、屋敷になるけど、と無邪気に提案する綱吉に、ザンザスは答えの代わりに唇を落とした。
終わり
――――――
嘘ついてないもん
めずらしく『今すぐ来て欲しい』という連絡が入り、ザンザスは綱吉の執務室を訪れた。
執務室では綱吉が書類と格闘している。
入ってきたザンザスを見て、綱吉は顔をほころばせた。
「ザンザス!! 丁度いいところに」
可愛らしいことを満面の笑顔で言ったのに、綱吉が差し出したのは数枚の書類。
「書類手伝って」
にっこりと微笑まれて否とは言えない。が、おいそれと頷くことが出来ないのは、その書類がどういうものか知っているからだ。
「こんなの忠犬にやらせればいいだろうが」
何故わざわざ俺に手伝わせる、と聞けば綱吉はしょうがないじゃん、と口を尖らせた。
「いつもすっごい手伝ってくれるんだよ。今日引っ張り出すなんて可哀想じゃないか」
ちらりとデスクの上のカレンダーに目をやる。そこには今日の日付ででかでかと丸が書かれており、『Buon Compleanno』という文字が躍っていた。
その内容に心当たりを探す。仕事と綱吉以外のことで占めることなどありえない中に、上手く入り込んでいたその情報は、確かに今日引っ張り出すことは出来ない内容だった。
ちなみに、ザンザスがこの情報を覚えていたのも、『綱吉が本邸から出られない日』という情報のためだったりする。
「そういうことか」
「そもそも今日が〆切の書類なんてずっと前に終わってるもん。それをヴァリアーが溜めてた書類がまわってきちゃってさ」
俺にはまだわからないところが多いし、ザンザスの管轄だから教えてもらえるかなって、と下から上目づかいにザンザスの様子を伺う。
「ベルか」
あのお気楽極楽王子は、王子だもん、と言って書類を矯める癖がある。一応期限までには出すようだが、それもギリギリで、いつもならば文句を言いつつ片付けるところも、今回ばかりはそうはいかなかったらしい。
今度の任務は置いていくか、とザンザスはため息をつきつつ、綱吉が持っていた書類を受け取った。
仕事を口実にしているが、会いたかった、という思いはちゃんと伝わった。
証拠に綱吉の表情が満面の笑みに輝く。
「別の日でも良かったんじゃないのか」
こんな書類の〆切が重なる時期じゃなくて、とザンザスはペンを片手に綱吉に顔を向ける。
「お前は当日休めないんだろ」
「まあね。さすがに他のボス呼んでのパーティですから。本当は彼女もパーティするべきなんだろうけど」
中心人物になるのはものすごく嫌がりそうだ。
「俺は彼女に感謝しているし、こういう日くらい何かしてあげたいな、って思うんだ。いつも忙しそうにしてるから、こういう日くらいのんびりさせてあげたいんだよ。彼女がいなきゃ絶対に今ここにこうして立ってないから」
綱吉はペンを片手でくるくると回す。その目にはここを見ていなかった。懐かしそうに過去を見ている。
「彼女に出会わなきゃ、今でも知らないことが多かっただろうって思うんだ。それに手伝いだって全部やってくれるんじゃなくて、ちゃんと俺が出来るところは自分で、って厳しいところも俺のためになってる。まあ、たまに知らないままでも良かったな、って思うこともあるけどね」
と綱吉はあははと笑った。
「あと、それだけか?」
綱吉の前に書類を差し出すと、もう終わったの!? と目を丸くさせた。
「当たり前だろ。ほら、さっさとしろ」
「はーい。あ、ザンザス」
ようやく書類に向かったと思ったら、綱吉はザンザスを呼ぶ。
「なんだ」
「今日は仕事ないんでしょ」
「あっても空けてやる」
その言葉に綱吉は、ぱあ、っと一段と明るい声を出す。
「じゃあ、ご飯一緒に食べよう!!いいでしょ」
今日一日は屋敷から出ることは出来ないから、屋敷になるけど、と無邪気に提案する綱吉に、ザンザスは答えの代わりに唇を落とした。
終わり
――――――
嘘ついてないもん
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